先月のことになりますが、人生二度目の岐阜に行ってきました。
今回の目的は、岐阜市内の乗馬クラブで行われた馬のためのテリントンTタッチ・ワークショップです。
講師は、Tタッチ・プラクティショナーコースでも教えていただいている、デビー・ポッツ先生です。
今回、三年ぶりに再会できた方たちや、同伴動物のTタッチ・プラクティショナーコースのお仲間(先輩方です~)も多数参加されてて、和気あいあいの楽しいワークショップでした。
2日間クラブの馬たちと様々なワークを行いましたが、特に印象に残っているのが、写真の黒鹿毛くんとのワークです。
彼はとてもとても敏感で反応性が高く、好ましくない刺激に対しては素早く口が出るそうで、噛みつきへの対処をしながら連れてこられました。
引き綱も、いままで見たことがないような頑丈な作りで、参加者の緊張もちょっと高まります。
デビー先生が、「この馬へワークしたい人?」と尋ねると、私を含めて三人が手をあげました。
Tタッチ・プラクティショナーコースで一緒のYさんもそのうちのひとりでした。
三人で交代してタッチしましたが、最初のうちは、手の位置や立ち位置や、ほんの少しの変化に反射的に口が出ていました。
今までどんな経験をしてきたのだろうと考えると心が苦しくなりますが、気持ちをニュートラルにして観察を続けます。
初めはなかなか落ち着かずに敏感に反応していましたが、興味深いことに、タッチを背から後半身に移していくと反応が静かになりました。
さらに腰にタッチをすると口が大人しくなって頭も下がり、仙骨部と尻尾の付け根のタッチで、頭部と頸がさらにリラックスして目からも緊張が抜けていくのが見て取れました。
そしてYさんが尻尾へのワークを行うと、顔や体から更に緊張が抜けて目もトロンとして、開始前とは別馬のようになり、クラブの方も、今までこんな様子は見たことないと喜んでおられました。
彼がこのクラブへやってくるまでには、人との関わりにおいて彼の反応性と関係する背景があり、その結果「噛みつき馬」のレッテルを貼られたそうです。
しかし、生まれたときから噛みつく馬など一頭もいないはずです。
人間の望ましくない対応が馬の好ましくない行動を引き起こし、問題行動を作り出してしまうのでしょう。
一般的に、噛みつきなどの行動(=表現)だけに目を向けると、力や道具で止めさせることに意識がいきがちですが、馬自身も噛みつきたくて噛みついているわけでないでしょう。
ましてや、人間を脅かしたり、仕返しをしてやろうと思ってやっているわけではないはずです。
私がTタッチを好きな理由のひとつは、動物たちをそれぞれ唯一無二の存在として向き合い、先入観なく観察し、気になる行動や問題があれば、力や嫌悪刺激で強制するのではなく、どうしたらともに安全に調和的に関われるか、その可能性を動物と一緒にさぐるところです。
今回三人でワークしたこの馬も、様々なシグナルで意志を伝え、コミュニケーションしていることに気づきます。
その言葉無き対話を通したワークは、私たちが彼らに何かをしてあげるのではなく、動物との共同作業であることを、今回のワークでも実感させてもらいました。
ワークショップ終了後、一緒にワークした仲間と、この学びの機会を与えられた喜びを共に味わい、感動を共有しました。
本当に動物からは学ぶことばかり。
癒やしたいと思いつつ、癒やされてばかりです。
猛暑の中でのワークショップでしたが、動物を愛する仲間と一緒に参加できたこと、そして馬たちがつきあってくれたことに心から感謝です。
この学びをクラブの馬とのコミュニケーションに、そして今後の馬や動物たちとの関わりに活かしたいと思います(*^-^*)