ホールオペラ

先日、今年初のホールオペラを観に行きました。

 

オペラというとなんとなく難しそうだし、お値段も高いし、とかく敷居の高い印象がありますが、ホールオペラはチケットも通常のオペラに比べると随分と身近な価格で楽しむことができますし、最近は上演の機会もずいぶん増えてきました。

 

ホールオペラと普通のオペラとの違いですが、通常は幕ごとに大掛かりな舞台セットが置かれ、出演するメインの歌手はもちろん、コーラス陣も手の込んだ衣装で登場します。

また演奏家たちは舞台手前の低い位置(オーケストラピット)で演奏します。

 

一方、ホールオペラは舞台の上にオーケストラが構え、舞台セットはオーケストラの手前の小さなスペースでテーブルやいすなどの小道具が使われる程度。

歌手はそこで演技したり、時にはオーケストラのまわりや客席の通路など、自由に動いて演技することもあります。

 

歌手の衣装も、舞台衣装で登場することもあれば、ガラコンサートのような正装の場合もあり、こちらも公演によりまちまちです。

 

このように、大掛かりな舞台装置やそれに伴うスタッフの人件費、衣装経費等がかからない分、チケットはかなりお安くなります。

 

しかし、演奏や歌、物語の展開は通常と全く同じですし、舞台セットや衣装がない分、視覚的な情報が少なくなるので、観客の想像力の中で物語が進行する部分もあり、オペラを観慣れた人にとっては違った楽しみ方ができるのもホールオペラの魅力のひとつです。

 

今回の演目はモーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」でした。

Così fan tutte :コシ・ファン・トゥッテと表記されることも)

 

女性の心変わりを描いた物語で、主な登場人物が6名と少ない点もホールオペラ向きの作品と言えます。

 

しかし、モーツァルトの作品でよく上演される「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」と比べると、物語のスケール感や華やかさがやや控えめな印象は否めないかもしれません。

また、幕も90分が2幕の構成で、はじめてのオペラ鑑賞にお勧め……、とは言いがたいのですが、二重奏などのアンサンブルが占める割合が多く、とても美しい作品です。

 

この作品はDVDでしか観たことがなかったので、ぜひ一度ホールで鑑賞したいと思っていました。

先にも書きましたが、視覚的な情報が少ない分、歌手の歌唱力や表現力がストレートに伝わって来るので、想像の映像を膨らませながら観ていました。

 

余談ですがこの作品。最初はサリエリに依頼が来ていたそうです。

サリエリが作曲したらどんな作品になっていたのか、ちょっと観てみたい気もします。

 

今回は久しぶりの生オペラでしたが、やはり劇場で楽しむ音楽はいいな、としみじみ思いました。

また次の機会が今から楽しみです。