先日のアロマアドバイザークラスは「香りの世界」について。
メディカルな全12回のコースの中で、純粋に香りに親しんでいただける楽しいレッスンです。
元々香料は草木や樹脂を焚いて煙をくゆらしたのが始まりといわれ、様々な宗教的儀式に用いられ、そしてわたしたちの日常生活にも入ってきました。
「ノート」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、香りの世界では揮発性・保留性により分類され、トップ、ミドル、ベースと大まかに分けられています。実習ではこのノートと、フローラル系・ハーバル系・バルサム系など精油の7つの分類を意識しながらオリジナルの香りを組み立てて練り香水を作ります。
アロマテラピーの本にも精油がどのノートに属するかということがよく書かれていますが、実は含まれている様々な芳香分子はそれ自体がそれぞれノートを持っているので、 ひとつの精油瓶の中にも揮発性や保留性の異なる芳香分子が混在しています。
賦香紙につけた精油の香りが時間の経過とともに変化するのはそのためです。
わたしは香りを嗅ぐと、プラムの香り、枯葉の香り、白胡椒の香り…、などなど、ワインを勉強していたころの習慣でつい分析してしまうのですが、実はほかに感覚でとらえているものに、香りが存在する「高さ」があります。
香りが下に向かって地面に近い所で存在している、上空でふわり漂うように香っている、など。
たとえば、ミドルノートに分類され、蒸留部位は「葉」でありながら濃厚な花の香りのような印象のゼラニウム・エジプトは、少し低い所に移動して香り、余韻も長めです。
もしかしたら「ノート」を自分の感覚でとらえたときに一番しっくりくる言葉が「高さ」であり、言い換えると香りの「音域」なのかもしれません。
そんな複合的な精油をさらに複数組み合わせてブレンドするのは楽しくもあり難しくもあるところですが、この作業は室内楽やオーケストラの編成に似ているように思います。
楽器の多くが数オクターブの音域と音色を持っているけれど、高音域のピッコロは香りではトップノートのように楽しく軽やかな印象を与え、低音域のコントラバスやファゴットはベースノートのように少し加わることで深みが増して豊かなハーモニーになる……
こんなふうに考えると単体ではちょっと使いづらいと思っていた精油も、ほんの少しで全体の印象をがらりと変えてくれるので、フローラル系や柑橘系などの親しみやすいものに偏らず、スパイス系や樹脂系などの個性も借りて、もっと香りの魅力を引き出してみたくなります。
香りのとらえ方は人それぞれ。一番しっくりくるものに例えてイメージしてみると精油の違った一面が見えて楽しいです。
普段は心身のケアとして薬理作用で選ぶことが多い精油ですが、受講者さんたちの楽しそうな様子を見て、わたし自身ももっと植物の香りと遊んでみたいと思いました。
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